天災級映画、天気の子について
毎度、初投稿でございます。
当ブログは映画「天気の子」のネタバレを含みますが、あしからず。
こりゃあ、スーパーセルやで!
というわけで、本編です。アホ長くて読みにくくてマジで最悪なのでゲロ吐きながら読むことをおすすめ致します。
お品書き
- キャラクターの内面を詳しく考えよう
- 全編通しての率直な感想
- 伏線とか
- ココスキ
- おわり
大まかなあらすじ
雨の降り続く東京。離島での暮らしに嫌気がさし、単身上京した家出少年、帆高。所持金も底をつき、藁にもすがる思いで仕事を求めて訪ねたのはオカルト記事編集事務所(適当)。なんとか平穏な生活を手にした彼であったが、ひょんなことから「100%の晴れ女」、陽菜と邂逅。彼女との出会いが帆高の人生を大きく変えていく…(適当)。
とまあ、公式サイトの引用もパンフレットも知らないので自分なりに導入を書いてみたわけですが、こうして文章にすると色々な事柄が並行して起こっていたことが分かります。それぞれが伏線として機能していくというわけですね!…………。
内面的な部分を掘り下げる
手始めに主要な登場人物の内面を掘り下げる上で、注目していきたいのが、
「拳銃」そして「警察」
拳銃でわかる帆高
冒頭、拳銃盗難(?)のニュースの描写。そして帆高は偶然にもその拳銃を手にすることとなります。直後、陽菜との邂逅。
それからしばらく経ち、別の場所で何やら怪しい男たちと一緒にいる陽菜を見かけた帆高。正義感からか思わず飛び掛るも膂力では敵わず、鞄から拳銃を取り出します(なんで持ち歩いてるんだよ)。主人公らしからぬ形相で発砲。男が腰を抜かした隙に2人で廃ビルへ逃げ込み結果的に陽菜を助けるも「気持ち悪い!」と拒絶され忌々しげに拳銃を投げ捨てます。
この拳銃が物語終盤再登場するのは正直予想出来ませんでした。そしてまた1発撃ってましたね。度胸が凄いです。
おさらいはこの辺にしてここから真面目。
彼の持つ拳銃、その銃口は常に周りの大人に向けられています。劇中、周りの大人は彼の敵として立ちはだかるばかりなので、別に違和感はないと思われるかもしれませんが、一介の高校生が大人に拳銃向けれますかね?ここに帆高の「生き様」が現れてると私は思います。
島での暮らしに嫌気がさし(細かくは語られていない)上京してみたり、陽菜を助けるため年上の男に飛びかかったり、彼には行動力がありますがそこには「計画性がない」のです。
その根拠の1つとして冒頭、彼がフェリーの甲板に飛び出していき滝のような雨(+巨大な雨粒?)に打たれるという場面があります。ここでも彼は計画性のなさを遺憾無く発揮し命を失いかけるわけです。
とここまで彼の計画性のなさをdisってしまったわけですが、こと「陽菜を助ける」ということに関してはその計画性のなさが功を奏したと言えます。自分の気持ちに真っ直ぐだからこそ、容易く「世界」と「彼女」を天秤にかけられたというわけです。
以上、拳銃と帆高の一貫性についてのお話でした。
警察と劇中における対比
前述の通り、この作品における大人とは基本的に帆高の敵として描かれています。警察もその例外ではありません。
印象的な場面は陽菜が消えてしまった後。帆高が
「陽菜さんは人柱になった」
「陽菜さんのおかげで空が晴れた」
「陽菜さんを探しに行く」
と強く訴えていたのですが、警察官の1人が
「鑑定必要ですかね?」
と一言。精神疾患を疑われています。
このシーンは胸が痛みます。辛いです。
ここで注目したいのは、劇中における「警察」というのは客観的に世界を見ている存在だということです。さらに言えば、
オカルトチックな描写が多い中、常に中立の立場から正しい行動を取っていると言えます。
ここで帆高との対比構造が見えてきます。
劇中の大人たち
話が散らかりますが、「大人」といえば、主要なキャラクターの中に帆高の上司である須賀とその姪の夏美(こちらも上司?)がいます。
須賀は警察に追われる身となった帆高を1度は追い出し、見捨てるという合理的な選択をとったわけですから、対比構造に当てはめれば真っ当な大人と言えます。
ところが物語終盤、それとは打って変わって非合理的とも言える行動をしたのもまた事実です。
ここで取り上げたいのは、夏美が
「帆高とケイちゃん(須賀)って、似てるよね」
的なことを言った場面です。昔から須賀のことを知っている夏美が言うのですから、須賀は帆高と似たもの同士だとみて間違いないでしょう。
ここで浮かび上がるのは
昔、須賀は帆高に似た「無計画」で「真っ直ぐ」な男だったが、大人になり「合理的」で「中立」な真っ当な大人に変わった。
ということです。
その大きな理由として、娘の親権争いが挙げられるでしょう。帆高に対しての
須賀:お前も大人になれ
という言葉に胸が痛くなりました(バカの一つ覚えかよ)。
その後、就活終わりの夏美に叱られる場面を経てどんな心情の変化があったのでしょうか。昔の須賀を知っていた夏美だからこそ、帆高を追い出すなんてありえない!と思ったのでしょう…。
そんな須賀ですが、帆高に感化されたような描写が幾つかありました。
特に老人警官が事務所を訪ねてきた場面で
「人生を棒に振ってでも、もう一度会いたい誰かがいるというのは素敵なことだ」
的なことを聞いて、須賀が思わず涙を流すという描写がありました。
若くして奥さんを亡くした自分と、陽菜を失った帆高を重ねて感極まった、と考えられます。
そして帆高ともう一度話すために、彼が訪れるであろう廃ビルに向かう…という流れです。
須賀は、帆高の覚悟を問いたかったのではないでしょうか。
あくまで初めは彼を止めるために諭していた須賀ですが、
帆高:俺は…もう一度、あの人に、会い
たいんだ!
という帆高の言葉に、心を動かされ警察官2人を組み伏せて帆高を援護します。
対して夏美は就活中という微妙な時期。劇中一貫して帆高の味方でした。警察とカーチェイスをするなんて常識的ではないですね(さすがにどうかと思った)。勝手な想像ですが、かつての須賀と帆高を重ねて、「応援してあげたい」と思っているのではないでしょうか。
彼女の就活風景については、
夏美:御社が第1志望です!
の一言に尽きますがこれも大人っぽいとは言い難いですね…。
いい意味で子供らしさを失っていない2人だったからこそ、オカルト記事の編集なんて胡散臭い仕事もなし得たのかもしれません(笑)。
陽菜(と帆高)
帆高:100%の、晴れ女!?
ちょうど1年前、母を亡くした陽菜。
年齢を偽ってアルバイトで生計を立てながら弟の凪と暮らしているというとんでもない女性です(更に天気の巫女とかいうもりもり属性まである)。
自宅を訪れた帆高に手料理を振る舞うカットが印象的。器用に卵の黄身と白身を分け、育てている豆苗と小口ネギを台所バサミで切る手際の良さと来たら…(すき)。
彼女の内面的な描写はそこまで多くなかったと思いますが、優しくて芯の強い女性であることは間違いないでしょう(ただし義務教育は必要)。
2度目に帆高と会った時、陽菜は水商売か風俗店かキャバクラか(怪しい店)で働こうとしていました。それほど生活に困窮していた陽菜にとって、自分の空を晴らす能力の有効な使い道を示してくれた帆高は、陽菜にとっては大きな存在だったと思います。
帆高:天気って、不思議だ。ただの空模
様に、人間はこんなにも心を動か
されてしまう。
人を笑顔にする「天気を届ける」仕事を心から楽しんでいた陽菜は、夏美から天気の巫女が人柱であることを伝えられた時、何を思ったのでしょう…。そして帰路の場面、
陽菜:帆高っ!
帆高:陽菜さんっ!
直後、空に引き寄せられる陽菜。前述の通り、多くは語られない陽菜の心情ですが丁寧に読み解くことでこの時何を伝えようとしたのか予想することが出来ます。
その晩、陽菜の家に警察が来た時も彼女は気丈に振舞っていました。彼女にとっては凪を守ることが最重要項だったように見えます。そのために自分は人柱になる訳にはいかない。そして帆高に、「凪を頼む」なんて言えない。
しかし、ここは帆高が男を見せますね。
帆高:俺は帰らない。
凪:おぉっ!
そして、3人の逃避行が始まります。
夏真っ盛りとは思えないほど冷たい夜、ひときわ強く降り頻る雨の中。人柱になることを拒む巫女を責め立てるような、そんな空模様。陽菜の目にはそれがどう映ったのか。
途中、彼女が雷を落とす場面があります。
ライデイン、電撃使い、かみなり(pp9/10)
いずれにせよとんでも能力ですね。はい。
なんとか宿(休憩のあるホテル)を見つけた3人。最後の晩餐の様相で楽しんでいました。「恋」とか「恋するフォーチューンクッキー」とかカラオケの選曲がちょい古め。
帆高:俺達は、なんとかやっていけま
す。これ以上、俺達に何も足さ
ず、何も引かないでください。
奇しくも翌日は陽菜の誕生日で、日付が変わった瞬間帆高は温めていたプレゼントの指輪を陽菜に渡します(パッと見プロポーズ)。めちゃくちゃ甘酸っぱいシーンですがこの後とんでもない試練があるんだろうと予想できる展開ですから、気が気でありませんでした(笑)。
陽菜:帆高は、この雨が止んで欲しいと
思う?
帆高:ぇ…?うん。
決定的な、一言。陽菜は、帆高に天気の巫女の末路を打ち明けます(微エロ)。そして初めて陽菜が帆高に弱さを見せる場面でもありました(微エロ)。この時点で2人が相思相愛であることは言わずもがなですが、彼女は強く、そして優しい女性ですから自分が消えることを選択します。帆高に凪を預けて。
陽菜が年相応の弱さを見せた場面はとても少なく、帆高が騙されていたのもうなずけます。年上かと思ったら年下とか、1粒で2度美味しいとはこのことですか!()
陽菜の心情を追っていたはずが、ストーリーの繰り返しになってしまった。コホン
優しく強い女性、陽菜。
天気を届け、人を笑顔にすることに自分の使命を見出す。そして帆高に恋をする。自分が消えることでより多くの人を笑顔に変えた。
美しい自己犠牲の心。古典ならここで終わってるいいお話です。御伽草子です。
閑話休題。
ここまで淡々と主要な人物の心情をうっすらと深く語ってきたのですが、1本のオリジナルアニメ映画としてこの映画を見た感想としては、
めっちゃ面白かったー!けど君の名は。よりリアリティに欠けた作風だったなー!
です。前作君の名は。と比べるのも野暮なのですが、クロスオーバー作品でもあるということもあり色々と引き合いに出されることも多いと思われます。
前作「君の名は。」との比較
リアリティに欠ける、というのは大袈裟なことを言えば、帆高の父親が実は警視総監だとか警察内部の人間が天気の巫女と何らかの関係があるとかで、全部解決するならいいのですが帆高は街中で発砲とか(銃刀法違反)、1度逮捕されて脱走(公務執行妨害)とか線路の中走ったりとか(鉄道営業法違反)もう数え切れないくらいの罪を犯してるわけですよ。
これって劇中でも言われてますが完全に人生棒に振っちゃってますよね(笑)。
君の名は。ではどうでしょうか。
瀧は時間軸の問題でそもそも直接関与できないわけですから勿論なんの問題もありません。
しかし三葉(並びにてっしー、さやちん)は町内放送ジャック、発電所爆破をやらかしてます(笑)。これは当然大問題なのですが三葉の父親は町長で、大災害の最中ですから有耶無耶にすることは難しくないように思えます。ましてやド田舎ですから、メディアもそこまで暴れ回ることはないでしょう。
つまり、見知った東京が主な舞台であると言うのは、本来天気の子のリアリティを高める要素の1つであったはずが、かえって現実との乖離を産んでしまったというわけです。これは劇中の設定にケチをつけたいとかではなく、ミクロな世界観の話なので、細かいことは気にするなそれ
と言ってしまえばそこまでです。ひとまずこの辺で終わりにします。
伏線、構成の緻密さ
1度見に行っただけで小説も読んでいないので、極めて漏れが多いと思いますがあしからず。
- 厨二臭い占い師
物語序盤から、天気を操る能力には代償がある、詳しく言えば「神隠しに遭う」という描写がありました。胡散臭い占い師も信用できるのかもしれませんね 。
- 陽菜のバイト
陽菜は2度目に帆高と会った時、バイトをクビになった 理由を明かしていません。全てを知った後なら、クビになった理由は「年齢詐称がバレた」からだと考えられます。ここで理由を明かさないのは不自然ですから、なにかやましい事がある、ということがこの描写から想像出来ます。
- 時系列のミスリード
これは受け取り手次第の話ですが、pvや物語冒頭、印象的な「世界の形を変えてしまった」という帆高のセリフがあります。これは劇中の時系列でいうと最後にあたる場面のセリフですが、それを物語冒頭に持ってくることでミスリードを誘ってるのではないか、というお話です(説明下手か)。
あんま思い出せなくて草(以上)。
個人的なココスキポイント
長くなりましたが最終章です。段々主観的な話が増えてきましたが、最後は極めて主観的です。「それな!」とか「は?」とかあーだこーだ言ってくださると幸いです。アホみたいに長い上記の文章と重複するところがありますが、多分誰もちゃんと読まないのでセーフ。
- グランドエスケープが流れたお空を飛ぶとこ
ここはpvでも印象的でした。この場面目当てに劇場に足を運んだと言っても過言ではないです。この、新海誠作品特有のキャラクターが話すのではなく、madのようにBGMでキャラクターを表すという手法はめっちゃ好きです。「愛にできることはまだあるかい」も非常にメッセージ性が強く、帆高の心情とリンクした曲ですが、グランドエスケープ好きすぎるマンの為熱量があまりない。
- 陽菜's クッキング
手際の良さがたまらん。あと美味そう。帆高そこ代われ。
- 浴衣を着た陽菜と花火と帆高のモノローグ
浴衣と美少女組み合わせたら最強です。鬼に金棒です。アーノルド・シュワルツェネッガーにAKMです。そんな映像をバックに、帆高のモノローグが流れます。
帆高:…心を、陽菜さんに動かされてし
まう。
花火ドーン。というね。
- ホテルから出た帆高、その目に映るのは眩しい日差し___みたいな場面。
切ない。不安感が確信に変わった瞬間ですね。ゾクゾクします。
- 本来の姿を取り戻した世界。晴れ女は人々の心の中に。
世間の反応に一切間違いはないのですが、晴れ女の結末を知っている我々にとってこの場面は辛い…。
- 思い出したかのように降り出す雨。帆高と陽菜の再会を確信する須賀
かなり涙腺に来る場面だと思います。このカットを考えた人は天才です。
と、上げればキリがないのでこの辺りでおしまいにします。以降余談。
キモオタ観点
とか粋すぎる!!!たまらん!!!(過呼吸)
こんなのオタクは喜ぶに決まってますね。ええ、その通りです、新海監督。
以上余談でした。
まとめ
劇場アニメということで、美麗なアニメーション、壮大な世界観、エモーショナルな音楽、どれをとっても最高レベルなのは間違いない「天気の子」。
よく考えたら雲動かしてんのとか頭おかc。
盛夏の日差しですら情緒的に感じてしまうようなお涙頂戴ストーリーもめっちゃ感動する(語彙力)。
正直天気の子でここまで書いたのは自分くらいなのでは?と思ってしまうほど長く書きましたが、このブログを見てもう一度「天気の子」を見に行ったとか、小説を買ったとか、そういう人がいるわけないやろ(突然の裏切り)。
PS
小説版は映画で描かれなかった話も含まれていると思うので、ぜひ買うことをおすすめします(ダイレクトマーケティング)。
自分も近いうちに読むつもりです。
「このブログを書いた感想?キミノソウゾウドオリダヨ☆」